近年、乳がんになる女性が急増しています。生涯に乳がんを患う女性は12人に1人と言われ、毎年1万人以上が命を落としているんです。
しかしその一方で、早期に治療すれば約90%の人が治ると言われています。現に、他の部位に比べて乳がんの罹患率(病気を患う率)はトップですが、死亡率はそうではありません。
つまり、定期的に乳がん検診を受け、早期発見につとめることが非常に重要!
みなさんも1度は耳にしたことがあるかもしれませんが、マンモグラフィーという乳がんの検査方法があるのをご存知でしょうか。国も推奨している検査なんですが、これには思わぬ落とし穴があるんです。
マンモグラフィーの弱点
マンモグラフィーとは乳房のレントゲンのことで、乳がんを早い段階で発見できる検査です。マンモグラフィーで撮影した写真では、乳がんは白色で形がいびつな円形で写ることが多く、この形により良性か悪性かの予測が可能になります。
また、「石灰化(せっかいか)」と呼ばれるカルシウムの沈着が写ることがあり、その形や分布によって極めて早期の乳がんを見つける事もできるんです。
ただし、マンモグラフィーで全ての乳がんを発見できるかというと、そうではないのです。毎回欠かさずマンモグラフィーを受けていて、検査結果で異常が見られなかったにも関わらず、進行形の乳がんを患ってしまう人が数多くいます。
国が推し進めている検診にも関わらず、なぜそのような事態を招いてしまうのかというと、乳房の種類によってレントゲンが上手く写らない場合があるからなんです。
そのような乳房を「デンスブレスト(高濃度乳房)」といい、日本人女性の7~8割がそれにあたると言われています。言い換えれば、マンモグラフィーで正確に診断が可能な日本人女性は、2~3割しかいないという事に。なので、自分の乳房がデンスブレストであるのかを知ることが重要になってきます。
デンスプレストかどうかは医師に直接聞くのが吉
自治体の行う検診や職場検診などでマンモグラフィを受診しても、自分がデンスブレストかどうかは分かりません。たとえ検診結果の用紙に異常無しと書かれていても、それが本当に「異常なし」なのか乳腺濃度が高くて「見えなかった」のか定かではないんです。
なので、精度の高い診断を行っている施設で、実際にレントゲン写真を見せてもらいながら、医師から直接説明を受けることをオススメします。その際に、自分がデンスブレストかどうかは確実に知ることができます。
もし自分がデンスブレストだという診断がされたら、マンモグラフィーではなく乳腺ソナーと呼ばれる超音波検査を受診しましょう。医師からもそのように勧められるはずです。
これは、デンスブレスト特有の高い乳腺濃度の影響を受けづらいので、デンスブレストの人の乳がん検診に大いに役立つもの。また、マンモグラフィーとは違ってX線を使用しないので、妊娠中の人でも安心して受診できます。
自分に合った検査方法で、しっかり予防していきましょう
乳腺濃度に影響されずに診断できるなら、超音波検査だけでいいのでは?と思われるかもしれませんが、前述した石灰化のようにマンモグラフィーにはマンモグラフィーでしか診断できないものがあります。その代わり、乳腺濃度が高いデンスブレストの人は診断がしづらいという短所が。
対して、超音波検査は、デンスブレストの人でも診断が可能、妊娠中でも受診でき、小さなしこりをみつけやすいといった長所があります。ただし、マンモグラフィーで発見できる石灰化の評価がしづらく、検査を行う人間の技量によって診断の質も変わってくるので、一概に有用とはいえないところ。
このようにどちらも長所短所があるので、自分がデンスブレストであるかどうかをまず知った上で、自分に合った検査方法で乳がん予防をすることが好ましいでしょう。
ちなみに、乳腺は加齢により脂肪に変わっていき、歳を重ねるとデンスブレストではなくなっていくことが多い傾向にあるので、定期的に検診を受ける事が大切ですね。